日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)が8/10(木)に開催した『実践カッピングセミナー』に参加してきました。
今回のテーマは少しマニアックで、プロセッシングの各工程ではじかれるコーヒー豆を比較するというものです。このようなテーマに絞って、実際に欠点豆が混入したコーヒーとスペシャルティコーヒーとを比較できるカッピング会は珍しいと思います(少なくとも私は初めてでした)。
以下、内容を大まかにシェアしますので少しでも興味が持っていただき、来年度以降のセミナー参加のきっかけになれば非常にうれしく思います。
概要
開催日時 | 東京会場 2023年8月10日(木)10:30から16:00まで(受付時間:10:00) |
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会場 | ワタル株式会社 東京本社 1階ラボ 東京都港区西新橋2-11-9(アクセス) |
セミナー内容 | 10:30~12:00各種の生産処理工程の講義、説明 13:00~14:30各生産処理工程5サンプルのカッピング、及びセッション 14:30~16:00同じコーヒーチェリーから作られた3種類の生産処理のサンプル 比較カッピング及びセッション |
受講資格 | SCAJテクニカルスタンダード委員会主催の『初級カッピングセミナー』を受講していること,又は相応のカッピングスキルを有するもの。 ※セミナー当日は、SCAJカッピング手順に関しての説明はなし。 |
参加費 | SCAJ会員: 22,000円 SCAJ非会員: 27,500円 |
募集人数 | 24名 ※先着順 |
持ち物 | カッピングスプーン・ エプロン・ 筆記用具、(マスク) |
申込方法 | オンライン申込み |
募集期間 | 7月10日(月)20:00~7月21日(金)10:00まで |
目的
スペシャルティコーヒーの品質に最も影響をあたえる、生産処理方法と生産処理工程を検証する、特別カッピングセミナー。中米のスペシャルティコーヒー生産者の協力を得て、コーヒーチェリーからグリーンビーンズに至るまでの、生産処理の各工程ごとにサンプルをプリパレーションし、それを比較カッピングして、その品質を検証するもの。生産処理工程のどの段階が品質に影響を与えるのかを、国内にいながらカッピングで確認し実感できる。生産地から遠く離れ、収穫時期の生産処理現場を確認することが難しい日本のコーヒー業界にとっては、画期的な実践カッピング。
- 比重選別で浮いたチェリーからプリパレーションされたコーヒーの品質は?
- グリーンセパレータでパルピングされなく、パルパーで経由プリパレーションされたコーヒーの品質は?
- 比重の軽いパーチメントから作られたコーヒーの品質は?
- 同じコーヒーチェリーから違う生産処理工程を経たコーヒーのFlavorの違いは?
などの疑問を、カッピングで検証しながら、生産処理の各工程がコーヒーの品質に与える効果を確認し、生産処理の仕組みが理解できるセミナー。
以下、当日行われた座学とカッピングの中身です(多くの写真や動画を使って説明いただきましたが、スライドの許可を取っていないので割愛させて頂きます。そこはぜひ参加して確認してみてください。)
座学(午前)
(1)スペシャルティコーヒーの環境について
プレゼンテーションを担当してくれたのはテクニカルスタンダード委員会の関根さんです。
2019年までのコーヒー豆消費と成長率について説明。ヨーロッパ、南米は市場としては引き続き大きいものの成長率としては微増。一方で、アジア、アフリカ、そしてアメリカが堅調な伸びを見せていて、特にアジアとアフリカは高い伸び率を誇っているとの説明がありました(図1参照 縦軸が成長率、円の大きさが消費量(万バッグ))。
この主な理由として①生産国における生活水準構造による消費増加、②品質のよいスペシャルティコーヒーの普及による消費者満足度の向上、等があるのではないかとのこと。また、これらの傾向はしばらく続くことが予想されるため、コーヒー価格は引き続き上昇傾向になると予想していました。
ちなみに、国内においてはSCAJもスペシャルティコーヒーが普及するように尽力しているという宣伝も忘れずにされていました。
あと興味深い統計資料として、全日本コーヒー協会(AJCA)が取りまとめた1983年から2013年のコーヒーの飲み方のグラフ。残念ながら元データを調べたのですが、わからなかったのでメモしたところだけ。
飲み方 | 1983(%) | 2013(%) |
ブラックコーヒー | 8.3% | 47.2% |
砂糖入り | 61.1% | 22.5% |
ミルクのみ | 9.2% | 22.2% |
1980年代に比べて2000年代になると、ブラックコーヒーの飲む人の割合が増えたとのこと。この理由としてコーヒーの品質が向上したことをあげていました。特に豊かな風味をもったコーヒーが増えたことによって、砂糖やミルクを一緒に飲まなくてもよくなったのではないかと。また、ミルクのみのものはラテ等が原因で、これらはシアトル系コーヒーの影響が大きいとのこと。
一方で気になるデータにも触れていました。上のグラフ(図3)はSCAJがスペシャルティコーヒーの輸入について会員企業にヒアリングを行ってまとめたものです。2018年、国内に輸入されたコーヒー全体のうち11%がスペシャルティコーヒーを占め、2020年にはその割合を12.4%まで伸ばしていたのものの、2022年には再び約10%程度に減少してしまったとのこと。これらの理由として、①コロナによる消費活動の変化、②コロナによる物流不備による輸入減少 等をあげていました。
個人的には、この現象が定着してしまうのか、それともスペシャルティコーヒーの割合が再び上昇するか、見守っていきたいと思いました。スペシャルティコーヒーを好きな人が多ければ、それだけ輸入も増えるでしょうからね。
以上、スペシャルティーコーヒーの現状について説明パートでした。後半(次ページから)はプロセッシング(収穫から生豆まで)について写真を交えながら説明が進みます。
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