洗練していくスペシャルティコーヒーの関係者
スペシャルティコーヒーは企業化するスターバックスに対抗する形で登場しています。そうするとそこに関与する人々のあるべき姿というのも暗にあります。
ある意味大手の関与はなく、洗練されてなく粗野であるべきみたいなものがありました。そんな中、2007年、Klatch CoffeeのHeather Perryがバリスタチャンピオンシップで優勝しました。彼女は学校でチアリーディングをやるような典型的な明るいアメリカ人でした。それはかつてのスペシャルティコーヒーに関与する人たちがあこがれる、コーヒー以外のことには無頓着なコーヒー狂いのイメージ像とは全く違っていたのです。しかも、大会に際して、スコアリングを意識してプレゼン方法まで研究し、優勝するための野心を隠そうとしない。間違いなく今までとは異なる人たちの登場だったのです。
一方で、かつてスターバックスのカウンターとして起業したインテリジェンシアやスタンプコーヒーなども当時のスタートアップ企業の規模ではなくなっていました。多くの従業員と店舗を持つ、中堅企業になっていたのです。その中で彼らの求められる役割も変わっていっているといいます。それでも彼らの中にはコーヒーに係る人たちを幸せにしたいという想いはあるよう。彼らのコーヒーの旅は果てしない。そんな旅の余韻を残しつつ、本書は終わりました。
本について
本の概要
- タイトル:スペシャルティコーヒー物語-最高品質のコーヒーを世界に広めた人々-(原題:God in a cup-The obsessive quest for the perfect coffee-)
- 著者:マイケル ワイスマン(Michaele Weissman)
- 訳者:久保尚子(くぼなおこ)
- 日本語版監修者: 旦部幸博(たんべゆきひろ)
- 推薦文(解説): 旦部幸博 (カフェプントコム・土屋浩史)
- 装幀:水戸部功
- DTP:株式会社ユニオンワークス
- 発行:楽工社
- 印刷・製本:大日本印刷
- 第1刷 :2018年2月11日
- ISBN978-4-903063-82-9 C0077
- 備考: Copyright 2008 Michaele Weissman
関係サイト
- 著者Offical site: –
- 著者twitter page:@michaeleweissma
著者のLinkedInページはあるものの、本書の著者紹介に紹介されているようなオリジナルHPはない模様。また、twitterページは本人の者と思われるものの、一度投稿した後、利用してないようです。
次の一冊
本書の慣習と推薦文を書いている旦部さんの作品で、コーヒーについて科学的に解説したものや、その歴史についてまとめたものはいかがでしょうか。
珈琲の世界史 (講談社現代新書) [新書] 旦部 幸博講談社2017-10-18
コーヒーの科学 「おいしさ」はどこで生まれるのか (ブルーバックス) [新書] 旦部 幸博講談社2016-02-19
ちなみに旦部さんは本書の中でアメリカのコーヒーに関する本としてもう一冊紹介しているので興味ある方は本書にあたってみてください(なお、この本は本書の参考文献としても使われています)。
当サイト【Book and Cafe】では次の一冊に関する短い紹介文を募集しています。お返しは今のところ何もできませんが、ここにSNSアカウント等を記載した半署名記事をイメージしています。要は人の手によるアマゾンリコメンド機能みたいなものです。気になったかたはSNSや下のコメントもしくはお問い合わせ にご連絡頂けますと幸いです。
雑な閑話休題(雑感)
スペシャルティコーヒーの概念は先に行った通り、豆の生産体制までだったり、焙煎までだったり、最後の口許に運ぶまでだったり少しずつ指す工程が異なります。
もちろん店によって解釈は違うんでしょうね。そういえば、通常のスターバックスはコーヒーを一度に抽出しますが、ロースターズやリザーブでは違います。そしてそこで提供される豆も違いますよね。
この概念に基づくものかもしれませんね。個人的には今回の本をきっかけにさらに知りたい分野が増えました。日本のロースターの活動もそうです。本では丸山珈琲について触れられていましたが、コーヒー農園をめぐっている人たちは彼だけではありません。またカッピングをしている人たちも多くいます。そして現地に赴くことはなくともできる範囲で現地に思いを寄せながら焙煎したり、プアリングしたりする人たちの声も聞いてみたいなと思いました。もちろん、上場と非上場限らず。少しずつそれらについて調べて、このブログでもシェアできたらと思っています。
ということでこれからもよろしくお願いします。