SCAJ2025には多くの企業や機関が出展しています。国内および中南米、東南アジア、アフリカなど37の国と地域から、約450社が参加します。そのため、ある程度絞ってブースを回る必要があります。
そして、SCAJには毎年様々な国が自国生産のコーヒー豆のプロモーションに来日にします。南米や中南米、アフリカ各国は常連組です。いずれも世界的なコーヒー生産国で、日本へも相応の量のコーヒー豆を輸出しています。これらの国々はブースも大きく目立つのでここでは取り上げます。
一方で、日本へのスペシャルティコーヒーの販売量を増やしたい国もあります。ここでは個人的に気になっているSCAJ2025に出展する国々と関連するブースについてまとめます。
中東はイエメン以外も熱い

中東でコーヒー関連で有名なのはモカ港を有するイエメンでしょう。今年もイエメンのスペシャルティコーヒー豆を取り扱うモカ オリジンズ(ブース:4109)が出展しています。
しかし、中東には他にもコーヒー豆の取り扱いに力を入れ始めている国があります。
例えば、今年のBest of PanamaでGW-1を落札したのはドバイのJulith Coffee でした。値段は1kgあたり30,204ドル(約450万円)。ロット20㎏での販売だったので、合計604,080ドル(約9千万円)の落札価格になりました。
またスペシャルティコーヒー協会が現地パートナーとWorld of Coffee Dubaiを共催してマーケットとしても重視していることがよくわかります。そして、京都にグローバルフラッグシップストアを設け、世界的なブランドにもなった% Arabicaも複数のショップをオープンしています。
今回、中東からはSaudi Coffee Association(ブース:4302)が出展しているので現地の情報収集がてら訪ねてみるのも面白いと思います。
近年飛躍著しいインド

インドは従来よりコーヒー豆の生産が盛んでした。特に知られているのはコーヒー豆を偏西風にさらして出来上がる独特な風味を持つモンスーンコーヒーでしょうか。このコーヒー、品質的には賛否があるコーヒーでしたが、最近はその他にも多くのコーヒーが栽培されるようになっています。
そしてそんなコーヒー豆は少しずつですが、日本へも輸出されるようになっています。その起点ともなっているのが国鳥であるトーカイ(クジャク)をロゴに添えたブルートーカイではないでしょうか。ブルートーカイ(Village:084)は今年もVillageに出展しています。そして今年は政府機関であるCoffee Board of Indiaが Coffees of India (ブース:3108)として出展、また生豆取扱業者のKalenchandra Coffee (ブース:1203)やKaapi&Culture株式会社 (YETTU )(ブース:Village095/096)が出展しています。
アジアのロブスタといったらベトナム

近年、ロブスタ生産に注目が集まることよってその生産力に注目が集まっている国です。生産量が安定しているだけでなく、港湾へのアクセスも比較的良好で品質の良いコーヒー豆が収穫されます。日本へもロブスタを中心に多くのコーヒー豆が輸出されています。
SCAJはスペシャルティコーヒーの祭典なので多くのベトナムコーヒー豆を取り扱うブースではアラビカを取り扱われていますが、ファインロブも多く取り扱われています。
普段、あまりファインロブを飲まない方にとってはその特徴的な風味には驚かれるかもしれません。ナッティ―、チョコレーティ(少し麦茶・穀物的なニュアンスを持つものもあります)は多くのファインロブから感じられる風味的な特徴ではありますが、きれいに精製されたものにはレーズンやアプリコットなど、スペシャルティーコーヒーのアラビカに劣らない風味を持っています。
もしかしたら生産者の方々もこのタイミングに合わせて持ってきているかもしれませんので、その取り組みとともにヒアリングしてみると良いかもしれません。
そんなベトナムのコーヒー豆に特化した主なお店はMegarden Coffee(ブース:1104) や Da Latee(ブース:S029)等があります。
存在感が増す一方の雲南

コーヒー生産量を年々増やしている中国。その多くが、雲南地区で収穫されています。特に先進的なプロセッシングを用いたに積極的に取り組んでいる地域としても有名な雲南ですが、両国に店舗を持つ雲南コーヒーを主に扱うMountain Mover Coffee(ブース:2404)や壹丁咖啡莊園(ブース:4211)等が出展していますので、中国のコーヒー豆のトレンドを確認がてら立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
COEも開催され、盛り上がりをみせる台湾コーヒー

日本の隣にある台湾。近年では沖縄のコーヒー栽培との関りも多く、コーヒー栽培について学ぶところが多い生産地域の一つです。今回はTCL珈琲研究室(ブース:2009)が出展しています。創業者のLinさんはQ インストラクター(Qグレーダーの教育指導を行える資格)で日本にも多くの生徒さんがいます。
また、国際的なコーヒーの品評会であるCup of Excellenceも彼が中心となって誘致し、今年で3回目の開催され、2025年1位の豆には91.08点のスコアがつけられ、1ポンド(454g)あたり180.40ドルの値段がつき、台湾コーヒーの品質向上とブランディングに寄与しています。
TCL珈琲研究室は例年通りセミナーも行い、その中でカッピングも行われると思います(去年はそうでした)。他にも台湾卓武山農園/里響珈琲(ブース:4105)等がありますので、会場でチェックしてみてください。
このほかにも日本では必ずしもメジャーではない国々も多く出展しています。その中にはとんでもない可能性を秘めたスペシャルティコーヒーがあるかもしれません。そういう豆との出会いを模索しながら、普段で合わない生産国を中心に会場を巡ってみるのも面白いのではないでしょうか。
ちなみに当日、私は会場で巡ったブースをSNS等で積極的に発信していこうと思いますので、よろしければそちらもチェックしてみてください。では良い皆さんのSCAJ2025が充実したものになりますように!