池袋・要町/温かく心休まる空間がひろがる寺カフェ『ぼうず’n coffee』

 京都を訪れると寺社がお庭や客殿を来訪者に開放していることがあります。そのような場所を訪れると、心休まり、元気をもらえます。また、そこで過ごした贅沢な時間はいつまでも忘れることがないように思えます。

 東京に住んでいると京都を訪れた時よりも寺社との距離があるように感じられます。境内は開放され、お参りできるところも多いのですが、接点はそれだけ。京都と比べてお寺の奥まで入ることができる場所はまだまだ少ない気がします。

 今日、ご紹介する『ぼうず’n coffee』は来訪者と接点を持とうとしてくれる稀有なお寺さんが運営しているカフェです。

池袋から歩くのも気持ちよい距離

お寺の前の桜並木・奥へ進むと有楽町線要町駅、手前はJR池袋駅西口へとつながります

 祥雲寺のご住職さんが運営する『ぼうず’n coffee』はJR池袋西口から徒歩で約10分。有楽町線要町駅5番出口からは徒歩で2分ほどのところにあります。過ごしやすい春先や秋の季節には池袋駅からの大通りを歩くのがおすすめです。

時々開いている不思議なカフェ

なぜ、時々なのか?それはその週の 『ぼうず’n coffee』の営業日が日曜日に、フェイスブックで公開され、しばしば休業になることもあるからです。お寺の法事や住職さんのお仕事の関係等、もろもろ勘案して営業するか決めているとのこと。忙しい合間を縫って、それでも人と接点を持とうとしてくれているのがうれしいですね。だから、カフェの営業日にいけるような状況だったら、まさにそれは何かのご縁かなとも思ったりしています。

山門の左右に塀はなく、境内への行き来は自由。

 そんなご住職さんの思いは、ご自身の人柄とお寺のつくりにも表れています。表通りから眺めるとわかるようにお寺の塀がないんです(笑)。これ、衝撃的でした。後で調べてみるとわかったのですが、やっぱり世間的にも塀がないお寺というのは珍しいらしく、ご住職さんによると、世間との壁を作らず、いつでも信徒さんに入ってきてほしいとの想いでこういうつくりになっているようです。

そして、ご住職さん、facebookからもわかるように社交的な方で、英語も堪能です。私が訪れた際に2度ほど、英語をしゃべられているのを見たことがあります。一人は中華圏のかた、そしてもう一人はヨーロッパの方でした。

メニューの説明から始まり、場所の案内。そして建物の中で少しほどエピソードトークをしていたよう。その光景に思わず、嬉しくなりました。

事前注文方法と御朱印

さて、話が・・・少し脱線してしまいしたね。そんなご住職さんが運営されている『 ぼうず’n coffee 』

とある週末営業日の様子。この日は書院にたどり着くまでに1時間かかりました。
客殿前の廊下からの景色もきれいです。

混み具合は日によってだいぶ異なります。週末や祝日の営業日はお寺の玄関の外まで列ができることも。また、外まで列ができていなかった場合でも客殿へと続く通路に待機列ができている場合もあるので、玄関にある鐘を鳴らす前にチェックしてみるといいかもしれません。


誰もいない場合は鐘を鳴らしてくださいというメッセージ。でも私はならしたことがありません。。

それらをかいくぐったらメニュー表の前でご住職に注文をお願いします。お寺さんのカフェだからって侮ることなかれ。メニューも豊富なんです。抹茶からエスプレッソやラテアートが書かれたカフェラテ等。そして、最近はタピオカまで登場しました。

とある日のメニュー

迷っちゃうようなメニューの中からお気に入りのものを頼んで、あとは館内でのんびりする感じ。ちなみに御朱印も注文時に頼んでおけば、帰りまでに記帳してくれます。

ぼうず’n coffee のロゴがカフェ訪問記念にもなります。

春と秋のお勧めは実は本堂脇にあるテラス。ここからは駅から続く大通りを見下ろすことができます。桜の時期にはお寺からのびるソメイヨシノを。秋には境内にたつイチョウを楽しむことができます。

各季節、見られる光景がまったく違うのは驚きです

また、せっかく来たのならここでお参りしていくのがお勧めです。

普段は信徒さんがご住職さんの説法を聞いたり、法事を行ったりする場所ですが、この日ばかりは静かです。

旧皇族から譲り受けた書院造りの別邸

 そして、このお寺を有名にしたのが別邸にある書院です。実は旧皇族・伏見宮家から譲り受け、かつては仮本堂としても使われていました。

 ここからの景色が言葉を失うほどによいんです。お勧めの場所は四季によって違うかも。春は左手のほうにある桜などがきれいに見えます。季節が移り変わるごとに右側にシフトしていくと全景がきれいに見える気がします。オールマイティなのは何といっても奥行きが楽しめる中央からの景色。

 そして、夜になるとライトアップまでしてくれます。ただ、営業時間は変わらず18時までなのでライトアップを楽しめるのは秋から初春にかけてという具合でしょうか。

書院からの光景は四季によって、また時間に応じて異なるので一度ならず、何度訪れても飽きることはありません。

京都を訪れた後に再確認できた、お寺のすごいところ

この書院、そしてお庭のすごいところは、後ろには建物、左手には墓地という、立地的には必ずしも恵まれていない場所にもかかわらず、そのことを感じさせない空間に仕上がっていることです。

木をうまく手前から奥へと立体的に配置することで後ろと左手の空間を隠しているんです。そして、そこにきれいな世界を作り出しているのがすごい。

 京都を訪れると広い空や後ろにある街や山、田畑の光景も交えて庭を演出しています。いわゆる借景というやつですね。ただ、東京だとビルもあるし、土地だって限られている。そんな中に創意工夫をしてこのお庭をもって、人々を癒し、もてなしてくれている。それをうれしく思っちゃいます。

景観とお茶と和菓子

書院でゆっくりしているとお寺の方がオーダー品を持ってきてくれます。ただ、人が多いときは番号をアピールしたほうがいいと思います。探すほうも大変ですからね。

ちなみに、直近で訪れた際に頼んだのは小倉あんトーストとミルクタピオカ(これも新作。そして抹茶もありました!)。上でも書きましたが、メニューは季節ごとに変わっていくので飽きることがありません。以前に頼んだことのあるものについて一部ご紹介。

最中やどら焼きは日本橋榮太郎のものを使っているし、お団子(しょうゆとゴマ)は風味豊か。それに夏に出てくるほうじ茶ゼリーは清涼感ばっちりでしたよ。

そして、ゆったりとして元気をもらった後はお盆を返却してかえる。滞在時間は1-2時間だけなのに、翌日や週末は少しだけ元気になることができる、そんな滞在を約束してくれるのが、 『ぼうず’n coffee』 です。

もちろん平日の午後という訪れにくい営業日が多いのは事実ですが、時間があったら一度訪れてみてはいかがでしょうか。その際は音楽プレイヤーなどをいったん置いて、庭の木々が重なって聞こえる音や鳥の鳴き声に耳を傾けながら、、ふと見上げたときに見える奥行きのある空間を楽しんでみてください。きっと何か思うものもができると思いますよ。

帰り、門前に咲いていた河津桜に見送られて余計に池袋までの足取りが軽くなりました。

お店情報

名前:ぼうず’n coffee

場所: 〒170-0014 東京都豊島区池袋3丁目1−6(祥雲寺内)

アクセス方法:JR線「池袋駅西口」出口C1より徒歩8分、東京メトロ有楽町線・副都心線「要町駅」出口5番より徒歩2分

電話番号:03-3984-2408

営業時間:毎週日曜日にぼうず’n coffeeのfacebookサイトにて連絡

website: ぼうず’n coffee(f) 祥雲寺(f)

instagram:https://www.instagram.com/bozu.n_coffee/

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