SCAJ主催ジュニアSCカッパー試験体験報告

先日、日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)主催のジュニアスペシャルティコーヒー(SC)カッパー試験を受験・合格しましたので、その内容等についてシェアしたいと思います。今後受験を考えている方の参考になればうれしい限りです。

ジュニアカッパー試験とは?

さて、そもそもジュニアSCカッパー試験とは何ぞや?という疑問がわくと思います。以下、SCAJのHPからジュニアSCカッパーに関する記載を抜粋します。

SCAJの定義、評価基準に基づき、スペシャルティコーヒーとコマーシャルコーヒーの明確な区別がカッピングを通して評価できる事、所定のカッピングフォームを正しく記入できる事を目的としています。

カッピングフォームが正しく記入でき、且つ適正な基準の範囲内で評価がなされた方に対して、ジュニアスペシャルティコーヒーカッパーの資格が授与されます。(但し、こちらのSCAJ資格を取得するには、SCAJ主催の初級カッピングセミナー受講をしている事、有効なコーヒーマイスター資格が必要です。)

SCAJ HPより引用

ということで、SCAJの定めるカッピング・フォームに基づいてスペシャルティコーヒーとコマーシャルコーヒーの判別ができます!ってことをSCAJに認定してもらうものです。

あと、この認定試験はアドバンスド・コーヒーマイスターの実技試験の一つとしても認められていて、仮にこの試験に合格した場合、残る座学講義を受講すればアドバンスド・コーヒーマイスターになれます(まぁ、この座学の都合をつけることは相当難しいわけですが…)。

また、この認定を持っていると、この認定の上位に位置するサーティファイド・カッパー試験を受けることができます。このサーティファイド・カッパーをもっているとハンドドリップ選手権の審査員に求められる最低限の要件を満たすことができたりします(もちろん、その他に求められる資質や実績等もあるのでこれが全てではありません)。

まぁ、そういう側面もありますが、改めて重要なのはスペシャルティコーヒーの基準がわかること、また昨今のコーヒーの中で何が良い(高得点を獲得しうるのか)とされているのかがある程度客観的にわかることだと思います。

これがわかっていると、世間の評価と自分の評価の乖離がわかり、その中でどう折り合いをつけ、また人に説明すればよいのかがわかるようになります。そのことによって、コーヒーの味に対する理解度が深まるのではないかと、思います。

では、その試験の概要について説明していきたいと思います。

試験概要

スケジュール16:00~ 受付開始
16:30~17:30  実技試験(ブラインドカッピング)
17:30  終了予定
受講資格コーヒーマイスター有資格者(有効な認定書を所持)
SCAJ主催 初級カッピングセミナー受講終了している方
(同日に初級カッピングセミナーを受講される場合も含む。)
※上記2つを満たしている場合のみ受講資格がある
受験料【試験のみ受験】SCAJ会員                   10,300円(税込)
【同日初級セミナーも受講する場合】  5,150円(税込)

試験の概要は上記のとおりです。コーヒーの4検体をブラインドカッピングでスコア付けをするというもの。試験時間は約1時間。ここで”約”と書いているのは4検体にお湯を注ぐまでの時間は計測しないためです。お湯を注いでから40分が正式な試験時間となります。

初級カッピングセミナー自体は誰でも受講することができますが、試験自体は受験資格があります。また、初級カッピングセミナーとジュニアSCカッパー試験を別日に受けることは可能ですが、同時に受けると割引が受けられますし、その日の味覚の調子も確認できるので可能ならばセットで受けるのが良いのかなと思います(ただ、これは人それぞれです。カッピング疲れして味覚が鈍くなる人もいると思うのでその辺は自身で調整するといいと思います。ちなみに初級カッピングセミナーの内容については以下の記事を参考にしてみてください)。

試験前に教えてくれる注意事項

繰り返しになりますが、試験は初級カッピングセミナーの後に行われます。初級カッピングセミナー参加者のみで試験が行われる場合は講師の方々がすぐに受験者を集め、諸注意を教えてくれます。もし、試験のみ受ける方がいる場合は、その方を待って諸注意を教えてくれることとなります。

その諸注意で話される内容はカッピングフォームの記入に関する注意事項がメインです。主なものは下のようなところです。

  1. 名前とテーブル番号:名前は通常のシートでも書きますが、その横にテーブルに付された番号も記載します。忘れると無効もしくは減点になりますので要注意。
  2. セッション:通常は何セッション目か認識できるように数字に丸を付けますが、認定試験の場合はその横に”認”と書いて、ここを〇で囲む。
  3. サンプル番号とローストカラー:忘れずに書く。
  4. アロマ:点数に直結しませんが、フレーバーの根拠ともなる情報もあるはずなので、忘れないように強度等の情報を記載。
  5. 各項目:斜め線で点数を付し、その数字を上にも書く。確定する場合は〇。上方・下方修正する場合は矢印をつけ、修正した点数を書き、最終点数に〇をつける。変更した理由についてもその理由を書く。
  6. 計算:小計・合計、いずれも点数を間違わない。

ざっくりと書きましたが、このくらいです。もし、記入方法にわからないことがあれば、このタイミングで聞く、もしくはセミナー時に確認しておくとよいと思います。

試験の様子

4検体に対して試験時間が40分だったため、だいぶ余裕があるだろうと踏んで臨みました(上の表では1時間の枠がとられていますが、これは最初のフレグランスやコーヒー豆の色の確認行為がこの40分に入っていないためです)。

まずはフレグランスにしっかり時間をかけました。

知らされていなかったのですが、対象となっているのはすべてウォッシュド・コーヒーでした。初級カッピング講座のときにはナチュラルも入っていたので混合になるかと思い、その時はどういう風に区別つけるか迷うかもと思っていたので、一安心。でも、この時に一つ完全にコマーシャルっぽいものを判別できたのですが、その他はそこまで大差がないなと感じ、念入りに確認をしてしまいました。

その後、何となく目星をつけたところで、講師陣の方にお湯を注いでもらうべく挙手。講師の方が注ぎ始めたら、タイマーを押してカウントダウン(アップ)スタート。

フレグランスの時点でコマーシャルは何となくわかって、その検体の(ウェット)アロマを確認しましたが、特段良くなる気配もなく、区分に自信をもてました。4分経過後にクラストをブレイク。

その後、検体が冷める前にアロマまでの情報についてカッピングフォームを記入。

12分たったころにカッピングを開始(舌をやけどしたら、味がわからなくなるので、この時間まで待ちました)。カッピングしつつ、もう一つのコマーシャルだろうものを特定。ここから永遠に残りの二つのスコアに悩みました。そこまで特筆して個性があるわけではないのですが、クリーンなコーヒー。SCであろうけど、本当にSCでいいのか、なんて思って何度もスラ―ピングを繰り返してしまいました。

15分くらいたって、とりあえず、情報を埋めようと1つ目のサンプル(コマーシャル)を記入。その後、得点と記入しながら、小計・合計を出していきます。ただ、やはり残りの2検体の点数が微妙だなと思って何度も飲み比べをしました。今になって思えば、この日3回目のカッピング時にカッピングしたナチュラルが大いに影響していたような気がします。

で、ストップウォッチをみると残り5分くらいだったので慌てて残りの空白を埋めました。そんな感じでほぼ40分ぎりぎりまでカッピングを重ね、講師の方に答案用紙を渡し、試験を終えました。

試験の反省点と気づき

時間配分のミス

40分なので、時間はたっぷりあります。ただし、迷い始めると時間はあっという間に過ぎるので自信があるところは早めに記入していくことが重要だと思います。また、迷っている場合でも、メモ欄等の情報を記入し、点数も仮置きしておけば、最後に焦って計算することはないと思います。

得点の修正

これがよいのか別として、大胆に点数をつけることも大事ですが、試験として合格点がある以上、自信がない場合は玉虫色の点数をつけておくのも手なのかもしれません。私の場合は一つの検体(一番良いと思われるもの)に、少し4検体の中で相対評価気味つけてしまった結果、少し加点をしすぎてしまっていました(午前・午後の中でも高評価だった検体よりも少し上。ただ、味的にそれは絶対にないと合計点を出してから思えました)。で、カッピングフォームが汚くなることや残り時間を鑑みて、修正しなかったのですが、この点数と修正しなかったことについてはいまだに後悔しています。

もちろん、正式なカッピング会で妥協したスコアは許されないでしょうし、また4検体間での相対評価も良くないことでしょうから、以後は行わないよう注意しないといけないなと思うばかりでした。ただ、試験の場合はまぁ、そういうのもあるのではないかと思います。

きれいなフォーム

情報伝達手段としてのカッピングフォーム。他の人が見た時にわからなければ意味がないので、日ごろからSCAJのカッピングフォームで練習するのがお勧めです。ちなみに上のものは午前中のもの。試験のときはもう少しきれいに書きました。

フォームの記載に対して20点が与えられているので、これは完璧にすべきです。合格点が70点以上で、そのうち20点の下駄があるかないかは本当に重要だと思います。午前中の座学である程度インプットはありますし、この講座でも3度にわたって記入でき、またさらに諸注意でよくあるミスについての注意を促してくれます。

この辺もきちんと聞いておくとだいぶ違うのではないかなと思ったりします。

実際、この点数がなければ、私は及第点に乗ることはなかったのかなと思います。

試験から約10日して結果通知が届きました。受かるかどうか確信が全く持てなかったので内容をみてほっとしました。

と、まぁ、いろいろ反省するところの多かった受験だったわけですが、今度もカッピングスキルを伸ばすべく、色んなカッピングにチャレンジしていきたいと思います。また、皆さんの経験の中でこんなカッピング・セミナーがよかったというものがありましたら、どうぞ情報シェアください。可能な限り参加してみたいと思います。そして、こんな方法もあるんだと学んでいきたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。また、次の記事でお会いしましょう。

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