先日、久しぶりにタリーズコーヒーで行われるコーヒースクールに参加してきましたのでその様子や関連するコーヒーについて情報をシェアしたいと思います。
参加したのはタリーズが誇るプレミアムビーンズ(プレミアムビーンズはタリーズが特別なコーヒー豆を対象に付与するブランドのことです)を対象としたスクール。今回はガラパゴス諸島産のコーヒー(タリーズには他にも一年間を通して提供しているコーヒー豆と季節(期間)を限定したシーズナルビーンズがあり、各々を対象としたスクーリングも行われています)でした。
参加した理由は、以前、ガラパゴス産のコーヒーを試飲する機会があったのですが、その時は少量でキャラクターがつかめなかったので、今回はもう少し味と産地について知りたいとかねてから思っていたからです。ちょうどそんなときにタリーズのスクールが開催され、参加したという流れです。
場所
今回、スクールに訪れたのは東急田園都市線たまプラーザ駅にあるタリーズコーヒーたまプラーザテラス リンクプラザ店です。店内は外からの見た目よりも広く感じられ、快適な空間でした。
コーヒースクールはレジ奥のところで開催され、参加人数は私も含めて2人。講師の方はとてもフランクな方で今回の対象となるコーヒー豆の情報はもちろん、エクアドルやタリーズのそのほかのコーヒー豆等の情報も教えてくれて、とてもよかったです(コーヒー豆に関する情報は次ページにまとめます)。講師の方は積極的にコーヒースクールを開催していきたいと言っていましたので興味ある方はチェックしてみてください(リンク)。
以下はスクールで得られた情報をベースに、自分で調べたエクアドル産コーヒーの情報をまとめたものです。スクールに参加した方には復習、参加できなかった方、もしくは違う機会にエクアドル産コーヒーを購入してみようと思う方々の参考になればうれしく思います。
エクアドル概要とコーヒー関連情報
エクアドル共和国概要
正式名称:エクアドル共和国
首都:キト(世界遺産)
人口:1776万人
GDP:1,062億ドル
一人当GNI:5,530ドル
主要産品:石油,バナナ,カカオ,コーヒー
主要輸出国:米国、中国、パナマ
コーヒー生産量順位:22位(2019/20 ICOデータ)
各データは外務省HP(リンク)より、地図はCIA WORLD FACTBOOKより引用
上述の通り、主要輸出産品は石油、バナナ、コーヒー、カカオ。これらに加えて、自然豊かなアマゾンを有し、太平洋に面している国土を活かして、生花、まぐろ、エビが豊富にとれます。
日本との貿易に限ると、石油、バナナ、魚粉の順となっています。カカオについては年度によって差はあれど、対日貿易額の1%程度を占めていますが、コーヒーについてはそれ以下で推移しています。財務省貿易統計によれば、2022年の年間輸入量は1430袋(生豆)、金額にして約1億4千万円とされています。
コーヒーの歴史と直近の生産推移
1860年にManabi県Jipijapa地区(海岸近くの自治体で港へのアクセスが比較的容易)に持ち込まれたが最初といわれています1。その後、コーヒー生産は低調なまま推移しますが、1920年代後半にカカオ栽培が病気によってダメージを受けると、コーヒーの価値が再考されました。
その後、エクアドル国内ではロブスタ栽培を行い、これをインスタントコーヒーにして輸出するようになります。そのため、中南米では数少ないアラビカ・ロブスタ両方の品種を生産する国となっています。1990年代、最盛期には世界のインスタントコーヒーの10%がエクアドル産でした。しかし、90年代以降はベトナム等の新興コーヒー生産国の台頭や国内の経済政策失敗等もあり、徐々に競争力を失いました2。
このような大きな流れの中、2010年代まで、アラビカ種、ロブスタ種ともに生産量は低迷を続けることとなります。ちなみにUSDA FAS(アメリカ農務省 海外農務局)の分析3によれば、1983年34.7万haあったコーヒーの耕作地は、2002年に6万haまで減少しています。
2012年になると、エクアドル政府がCoffee and Cacao Reactivation Program4を実施し、カカオとコーヒーの育成事業に力を入れ始め、特にロブスタ種を中心に耕作地の回復がみられるようになりました(ただし、この時点では植樹しただけなので、コーヒー豆の収穫までにはさらに時間がかかりました)。
また、同じころ、コーヒーの国際市況が高くなったこともあり、アラビカ種の農家の一部でも耕作地への投資が行われるようになりました。しかしながら、全体としては近隣の国、例えば、コロンビアやペルーに比べると45%、ブラジルに比べると78%も生産性が悪い3といわれており、加えて精製コストも高いため、国際競争力が低いといわれています。
ただ、直近では政府、UN、NGOなど多くの団体が農業指導を行った結果、生産量、生産効率ともに改善の傾向が見られます。USDA FASによれば、2021-2022年の生産量は約261,000(60kg bags)で5、2022-2023年は354,000(60kg bags)まで増加することを見込んでいます。2021年の主な輸出先はドイツ(32%)、ポーランド(12%)、ロシア(10%)、コロンビア(10%)、ベルギー(5%)です。
1Proecuador(エクアドル輸出振興機構)より リンク
2Why does Ecuador import so much coffee? by Perfect Daily Grind リンク
3USDA FAS Coffee Annual (Ecuador) Report Number: EC2022-0008 リンク (生産効率が悪いのはコーヒーノキ本体とその周辺の整備を行っていなかったり、肥料を使わなかったりする等、様々な理由があります)
4 Scientific, Technical, and Social Challenges of Coffee Rural Production in Ecuador WRITTEN BY Echeverría María Cristina, Ortega-Andrade Sania, Obando Sebastián and Marco Nuti リンク、Coffee reactivation project in Ecuador by Hernan Cueva リンク
5国際コーヒー機関(ICO)によればアラビカとロブスタを合わせて約33,540トン(559,000(×60kg bags)(2019/2020))となっており、USDA FASの発表する内容とだいぶ異なりますが、これ以降の情報がUSDAのレポートをベースとしているため、ここではUSDA FASの統計を使用しています。
コーヒーを生産する地域
エクアドルのコーヒー生産の40%は海岸沿いで生産されていて、そのうち67%はManabi県で生産され、90%がアラビカ種です。残りをAmazon(アマゾン)とSierra(高地)地域が30%ずつを占めます。そしてアマゾン産のコーヒーのうち86%をロブスタ種が占めています。
上の地図のうち赤線を引いたものが有名なコーヒー産地です。基本的に高品質なコーヒーは中央にそびえたつアンデス山脈に沿ってあると考えればいいと思います。なお、国内のコーヒー農家は約70,000人といわれています6。
次のページからガラパゴスにおけるコーヒー生産と今回の対象となったコーヒーについてです。
6コーヒー生産に関する数字等はいずれもUSDA FAS Coffee Annual (Ecuador) Report Number: EC2022-0008 リンクを参照
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