【本紹介・感想】地域とともに生きる雑誌が地域に根付くコーヒー屋さんを紹介『房総コーヒー』

内容

私たちは様々な方法でカフェや喫茶店を知ることができます。雑誌であったり、ネットであったり、もしくはたまたま通りかかって、ということもあります。どんな方法であったとしてもその出会いはかけがえのないものです。

でも数あるお店の中から、折角ならば、店のコンセプトや雰囲気、店主の生き方や気持ち等々、何かしらに共感して利用したい、なんてたまに思ったりします(毎回こんなことを考えていると息苦しくなるので時にです・・)。

今日ご紹介する本は『房総コーヒー』は、千葉県南房総市に拠点とする編集者が書いた本です。紹介されるお店は房総という土地に魅かれてお店を作り、そして房総の内外に多くのお客さんを抱えるところばかり。

お店によってはすでにコーヒーやグルメ雑誌やメディアにも取り上げられていて有名なところもあります。でも、ここまで深堀りした本はないのではないでしょうか。

この本のお店の紹介の仕方は全国区版の雑誌クォリティを維持しながらも、詳細で丁寧。店主とお店のことを伝え、彼/彼女らがどのように房総と、そしてそこに住む人たちに寄り添っているかを伝えています。

もちろん、コーヒー本でもありますので、彼らがお客さんとの接点としてなぜコーヒーを選んだかについても書かれています。そしてコーヒーと一緒にだされる品々についても。なぜ、それがそのお店にとっての必然だったか。そして、それらがどうやって生まれてきたかについても。

コーヒーショップを紹介するグルメ本でありながら、房総という地域の空気を伝えてくれる旅行ガイドであり、そしてそこに生きる人たちに関するルポルタージュでもあるんです。読み方によってジャンルも変わる、それが『房総コーヒー』です。千葉へのお出かけの予習に一冊いかがでしょう。

暮ラシカルデザイン編集室HP『房総コーヒー』紹介ページ(リンク)。このサイトで購入することもできます。また、本書を取り扱っているカフェやショップ等に関する紹介もあります。その中にはオンラインショップを持っているところもありますので、サイトを眺めながらショップのことをしってみてもよいかもしれません。

感想

お店と書き手がうまくマッチングするとこうもお店やその地域が魅力的に、そして生き生きと映るんだと思いました。お互いが房総という土地に愛着を持ち、片方はお店を持ち、片方はそれを伝えることを仕事にしている。どちらかに力点のバイアスがあるわけではなく、自然体に物事が伝わってくるんです。

本書の編集者であり、執筆者でもある沼尻さんは、千葉にある数あるお店の中でも、房総に根差し、県内外の利用者になくてはならないお店を今回取り上げています。

そして、お店との付き合いについてもきちんとしていて、雑誌で紹介したのにその場限りの付き合いにならないように心がけているそう。実際、暮ラシカルデザイン編集室のフェイスブックページをみると雑誌で紹介したカフェとのつながりが様々なところで垣間見ることができます。

そういう人だから、お店の人も時間をさいていろいろ語ってくれているのかもしれません。

また、本書の中では店舗の風景とともに必ず人が登場します。店主だったり、その家族、さらには常連さんまで。登場する皆さんのリラックスされている表情や自然な笑顔を見ると取材当日の風景がとても和やかなものだったんだろうなと想像できます。もちろん、中には真剣な表情でネルドリップで抽出している姿もありますが、そこから特別緊張している雰囲気はなく、いつもの真剣なまなざしという感じ。

そして、ライターの沼尻さんもお店の力に頼るだけでなく、写真と言葉で伝えていました。コーヒーと店主との関係、コーヒー業界が抱える問題点、その他生きているうえで対峙している多くのことごとについて丁寧に言葉で綴られていました。

本当、こういう本を作れるってすごいなと思える、そんな本でした。ちなみに紹介されているコーヒーショップは以下の通りです。

Sand CAFE_千倉

KUSA.喫茶 自家焙煎COFFEE+PAN._長生

珈琲商店 ハト_市川真間

珈琲 抱/HUG_大多喜

豆NAKANO_千葉

PIE & COFFEE mamenakano

The Meaning of Life.coffee_東金市

藁珈琲洞 ~コーヒーと季節のおいしいもの~_鋸南

mobile & smile COFFEE モバイルカフェ 福笑屋

猫実珈琲店_浦安

ブロワ珈琲焙煎所_館山

BROWN SOUND COFFEE_津田沼

HOUEI COFFEE and STORE_成田

SPAiCE COFFEE_勝浦

iijima coffee_千葉

Grumpy_木更津

EASY LIFE CAFE_成田

DEUX MOUTONS_匝瑳

Mai Cafe / Artisan Chocolate33_市原

コーヒー くろねこ舎_茂原

cafe GROVE_富津

TRAYCLE Market & Coffee_館山

特集等については記載していません。

本の概要

  • タイトル:房総コーヒー -旅と、日常-
  • 編集:暮ラシカルデザイン編集室
  • テキスト・写真・デザイン:沼尻亙司
  • テキスト・写真:山本史生(p34-37)
  • 発行:暮ラシカルデザイン編集室
  • 第1刷 :2017年10月20日
  • ISBN-
  • 備考:

関係サイト

日々の活動はfacebookで知ることができます。最近の記事では事務所の移転の流れがよくわかります。この状況が改善されたら一度現地に遊びにいってみたいものです。また、instaアカウントでは美しい千葉の風景と出会えるので一度覗いてみてはいかがでしょうか。

次の一冊

この本で千葉、房総半島の魅力を感じたら、もう少し千葉について知ってみませんか?住んでいる人も住んでない人も新たな発見があれば、それだけその地域に関して愛着がわくでしょうから。もしかしたら運命が変わっちゃうかも。

CHIBA 千葉 チ~バ 叫びたいほど面白い千葉の話160

CHIBA 千葉 チ~バ 叫びたいほど面白い千葉の話160洋泉社2019-09-19

この本は帯からもわかるとおり、ゆるく、千葉の歴史や地理、さらには千葉県民についてエッセイ形式でまとめています。気軽に読めて、かつ誰かに話したくなるトレビアまで得ることができます。

この本のほかにも多くの千葉本があります。知りたい分野と千葉で検索をかけると面白い本と出合えるかもしれませんよ。のんびり探してみてください。

当サイト【Book and Cafe】では次の一冊に関する短い紹介文を募集しています。お返しは今のところ何もできませんが、ここにSNSアカウント等を記載した半署名記事をイメージしています。要は人の手によるアマゾンリコメンド機能みたいなものです。気になったかたはSNSや下のコメントもしくはお問い合わせ にご連絡頂けますと幸いです。

雑な閑話休題(雑感)

この本とはどこで出会ったんでしょう。謎なんです。千葉県流山市にあるカフェのうちのどれか、もしくはその他の千葉県内のカフェかもしれない。もしかしたら奥沢にある尾山台と九品仏のあいだにあるD&Deparmentかもしれない。果てはインディペンデントな本屋かもしれない。

そしていつからか、千葉を訪れると暮ラシカルデザイン編集室の本を探すようになりました。もちろん、毎回買うわけではありません。何せ楽しみはとっておく派ですから。少しずつ買い足して言っている感じです。

そんなのんびりなスタイルをとっているとお店からいつの間にか本がなくなっていることもしばしば。そういうときは暮ラシカルデザイン室のサイトで買おうかとも思うんですよね。でも、何となくこの本をさがすのも街歩きの楽しみの一つとなっているので、それはそれでいいかなとも思っています(まぁ、朝令暮改よろしく、オンラインで頼むこともあるかもしれませんが、それはそれで。。。ねぇ。)。

本日も最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。また、次の記事でお会いできるのを楽しみにしております。

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