ここ一か月でアメリカのスペシャルティコーヒー協会は自身のホームページを通じて多くのことを発表してきました。ということで数回に分けて事象毎に整理しつつ、取り上げていきたいと思います。
SCAが一部Q資格を運営することに

アメリカとヨーロッパを中心に活動しているスペシャルティコーヒー協会(Specialty Coffee Association (SCA))は2025/4/23付でスペシャルティコーヒーの品質評価に際して国際的な認定を受けてきたQ Graderの認証および資格運営についてコーヒー品質機構(Coffee Quality Institute(CQI))から引き継ぐと共に、2025/10/1から新たにEvolved Q Grader資格として運営していくことを発表しました1。
これに伴い、CQIは既存のアラビカ種を品質評価するQ Arabica Grader Program及びロブスタ種を品質評価するQ Robusta Grader Programについて2025/9/30をもって廃止することになりました。CQIは引き続きコーヒー生産者の支援に注力していくとしています。
CQIは一部Q資格の運絵から撤退

CQIも自身のホームページを通してQ Grader Programから撤退することを発表しています。一方でCQIはコーヒーの精製方法に関するQ PHP (Post Harvest Processing) Programを運営し続けると発表しています2。この結果としてQコースはSCAとCQIの二つの機関にまたがった資格となります。
また、CQIは生豆の鑑定を各国のパートナー機関(In Country Partner (ICP))とともに行ってきましたが、これも廃止されることとなります。そのため、9/30を以てQグレーディングという生豆の格付はなくなります。一方で、CQI/ICPともに生豆の評価は精製後の評価として大事なものであるため何らかの形でこの制度を残そうとしているようです。
いくつかの反応
Qグレーダーからは様々な反応がありました。まず、肯定的なものとして長らく改訂がなかったカッピング(フォーム)が最新科学に基づいて再構築されるのは関係者にとってよいということ。また、ある程度の資格の移行期間があって、多くの人が資格移行できると考えているとのこと(資格移行の手続きと内容については次回以降記事にする予定です)。
一方で否定的なものとしてはCVA(Coffee Value Assessment:コーヒー価値評価 (CVA)については下のリンク参照ください)のスコアリングが完全に主観的なものになるため、従来できた品質の維持が期待できないというもの。また、深刻なものとしてはQグレーダーのインストラクターは今まで生徒に対して教えてきたことの内容が著しく変わると同時にQグレーダーの教育資格を取りなおす必要があるため、生活に影響があるというものです(特に途上国のインストラクターからは費用負担が大きいとのコメントもありました)。ネット上でも一部インストラクターが意見を表明していて、Qグレーダー資格に関する運営譲渡について知らされていなかったことが伺えます3。
私の周りでもQグレーダーの何人かは資格更新に関する追加の費用負担に対して懸念を示している人がいたり、CVAがそもそも成熟していない、もしくは認知を得ていないのに評価の中心に持ってきて良いのかと考えている人もいました。私もこの主張は理解できます。場合に応じてemail等で問い合わせるのも良いのかもしれません。いずれにせよ彼/彼女たちも何らかの決断をしていくんだと思います。
当初否定的な意見を持った人の中にはとにかくこの変化に対応していくしかないとして、動き始めています。私自身もいずれかのタイミングでCVA for Cuppersを受けようと思います。コースを受講した際にはここで内容をシェアしていきたいと思います。
また冒頭にも書きましたが、今後もQグレーダーに関することをまとめていきたいと思います。特に資格移行周りのこと、移行に際しての準備すべきことや本件の背景と思われる出来事をアップしますので、ご興味ある方はSNSのフォローをお願いします。