内容
本誌は一般社団法人 日本スペシャルティコーヒー協会(Specialty Coffee Association of Japan: SCAJ )が会員向けに送付してくる広報誌です。イメージは社内報か業界紙の簡易版のようなもの(実際に、ご覧になったほうが早いと思います。『SCAJ ニューズレター (+ vol.指定)』でネット検索すると過去のものがPDFで見ることができます。)
この広報誌で多くのページが割かれるているのが、SCAJの主催する大会もしくはSCAJが提携するワールドバリスタチャンピオンシップ(World Barista Championship :WBC )に関するものです。SCAJの国内大会開催前の号では参加者のプロフィールや意気込みが紹介され、大会実施直後は大会の様子や同時に行われたイベントの内容等が掲載されます。そして、その後の号で優勝者等にインタビューしたり、世界大会となるWBCへの様子などを教えてくれます。
また、業界の中での著名人へのインタビュー記事も見所のひとつかもしれません。特別インタビューとしてVol.54(リンク)では堀口珈琲の創業者 堀口俊英さんに、Vol. 63(リンク)では2007年JBCチャンピオンでかつ、同年WBC4位に輝いた宮前みゆきさんのインタビュー等も掲載しています。ちなみにインタビュアーは丸山珈琲の丸山健太郎さんです(ここでは日本スペシャルティコーヒー協会の会長としてインタビューをされています)。会長が会長なので色んなところにリーチできそうな気がしますし、この特集は今後も楽しみです。
ほかにも業界関係者向けセミナーの実施レポート等もあります。業界関係者向けの本だけあって分野によっては相当な深堀もなされていて読み応えがあります(ただし、この本だけが読みたい場合はネットで済むので会員になる必要はありません。)
ということで本屋さんに並んでいるコーヒー系の雑誌で物足りないと思ったかたはこの本をご覧になってみてはいかがでしょうか。
感想のようなもの
SCAJの個人会員になるまで
SCAJの会員になったのはほんの出来心のようなものです(笑)。
コーヒー業界に身を置くわけでもないし、アルバイトだってしたことない。だから、知識は本やセミナーで得られた断片的なものばかり。もう少し体系的に知識を身に着けたいなと思ってなんか勉強できないかなと思ってサイトを検索するといろいろあるんですよね、協会も資格も。。。そりゃそうですよね、国家資格というわけでもないので民間団体がいくつか競合しているような状況なんです。
で、少しだけ調べて、SCAJのセミナーやコーヒーマイスターは面白いかもと思ったんですよね(まぁ、ほかにもいくつか面白そうなものはあったんですが、最終的にはフィーリングでした)。でも、いずれに参加、勉強するにしても会員にならなきゃならない(これ、間違いです。実は両方とも参加できます。ただ、参加時に優先順位があったり、割引が適用されないだけです。2つ以上のセミナーとかに参加しないなら、個人会員にならなくてもいいと思います(笑))。で、申し込んだという流れです。
まぁ、続くのかわかりませんが。。。とりあえず次回のマイスター講座には申し込んでみようかなと思っている次第です。まぁ、そうでないと広報誌やメルマガを買うだけのために会員になったことになるので。。。それはさすがに高いかなと思ったりしています。
広報誌から得られる情報
インタビュー記事からは色んなヒントがあるような気がします。例えば宮前さんと丸山さんの会話の中では地域の文化を踏まえたコーヒーの嗜好や年代によるスペシャルティコーヒーに対する理解度等についても会話がなされています。もし個人でコーヒーショップを出したいなと思っている人には、この会話すらもしかしたらヒントになるかもしれません。
また、同号ではスペシャルティコーヒー市場調査というものが掲載されています。隔年でSCAJの定時社員総会の実施後に行われているものでロースターや商社など、業界関係者による動向が探れます。
総会後のインタビュー調査に基づくもの(インタビュイーは商社やある程度のロットを焙煎するロースターが中心)。下は法人会員に対するメール調査に基づくもの(喫茶店や小売店が2/3を占める)。(出典:SCAJ ニューズレター Vol.63 P23-24 コーヒーの過去3年間の売り上げ推移より)
雑誌から抜粋させていただいた、”コーヒーの過去3年間の売り上げ推移”に関する情報は興味深かったです。コーヒーが好きだとついついスペシャルティーコーヒー市場は右肩上がりだったり、盛り上がっているなと思いがちですが、2018年の調査では2016年に比べて減少に転じているお店も出てきているし、”伸びている”と回答している企業も以前に比べて減っていました(ただ、全体のスペシャルティコーヒーの輸入量やコーヒー全体に占める割合は増えてはいます)。
もしかしたらもう一つ何かブレイクスルーがなければスペシャルティコーヒーの市場の拡張はないのかもしれませんね。もちろん、それに向けて努力しているのがこの協会であり、各店舗なのでしょうけど。これからの展開に期待したいかなと思う次第です。
そのほかにもVol. 65(リンク)に掲載されいてたWorld Specialty Coffee and Exhibition開催時の業界関係者スピーチ概要はコーヒー供給各国の取り組み最前線が知ることのできる良い記事でした。
と、まぁ、そんな感じで業界を俯瞰もできるし、奥深くに潜ることもできるのがこの広報誌だと思います。広報誌自体は上述の通り、無料で読むことができますのでここまで読んで興味を持たれた方はぜひ検索してみてください。
こんな活用方法も?
ちなみに会員になると協会に所属する会員の名簿も送られてきます。喫茶店やカフェに関しては名前と住所が記されているのでこれをきっかけに訪れた店もあったりなかったり。なんとなくそういうお店なんだ、って思うと少し感動したりします。
まぁ、なので使い倒そうと思えば使い倒せるのが会員制度ですよね。ということで私の使い方はこんなかんじなのですが、もしご覧の方々の中で、こういう使い方もあるという方がいらっしゃったら、ぜひ教えてください。
本について
本の概要
- タイトル:News Letter(SCAJ ニューズレター)
- 編集:広報委員会 永田 卓
- 備考:会員向けに年4回送付(根拠:会員規約 4.会員区分と特典に基づく)
関係サイト
- 日本スペシャルティコーヒー協会: http://scaj.org/
日本スペシャルティコーヒー協会のHPにあるリンク集は面白いのでぜひご覧になってみてください。法人会員であるコーヒー豆の卸しから自家焙煎店まで色んなお店が掲載されています。色んなコーヒー店があってどれを選んでいいかわからない、という方はここで少し調べてみるのもよいかも。そして、リンク先の各店舗のHPではコーヒー豆の買い付けに関する情報が充実しているものもありました、のんびり探してみてください。
次の一冊
コーヒーに関する雑誌は多いですよね。『珈琲時間』や『CAFERES』は一般消費者向けであるとともにカフェや喫茶店経営者向けの代表的な雑誌だと思います。BRUTUSなども定期的に特集を組んでいますよね。私もでているとついつい手にとって眺めて、知らない記事が多いとついつい購入しちゃいます(まぁ、ほとんどが身になっていないわけですが・・・)。
Standart Japan 7号 ISSUE 7 スダンダート ジャパン [雑誌] Standart2018T
Standart Japan 11号 ISSUE 11 スダンダート ジャパンs.r.o. StandartStandart Japan2020T
さて、その中でも個人的にお勧めなのが『STANDART』です。『STANDART』には日本で発行されるものと海外で発行されるものがあります。日本で発行されるものは海外の記事がベースとなっていて、それに日本のオリジナル記事が追加されているかんじ。どちらのバージョンも読みごたえがありますし、デザイン的にも優れているのでお勧めです。
最新号等についてはSTANDARTのHP(リンク)からご確認ください。
雑な閑話休題(雑感)
以前、会社でとある端末を導入していました。その端末を導入していると会員企業向けに研修やセミナーを開催してくれるのですが、当時の会社では形式だけ導入していて必ずしもその存在すら知られていませんでした。
みなさんの会社でも形式だけの法人会員ものってありませんか?今回ご紹介したSCAJもそうですが、会員になっているだけで放置だとやっぱりもったいないですよね。逆に使い倒そうとすると案外いろんな可能性が眠っているんじゃないかなと思います。
ということで法人会員や個人会員ものを一度棚卸してみてはいかがでしょうか。新たな可能性が発見できるかもしれませんし、もしできなかったらやめてしまうというのも一つの選択肢かもしれません。・・・なんて、自分のサブスクリプション一覧をみながら思いました(その後、あるサブスクを解約したのは書くまでもありません・・・)。。